2013年09月19日

穀物を食べるということ vol.16「精神を癒すセロトニン活性ダイエット」としての側面

 セロトニンは脳内の神経伝達物質のひとつで、脳内のドーパミン(快感物質・やる気の素)とノルアドレナリン(警告物質・恐れや驚きの情報をコントロール)のバランスをとり、精神を落ち着かせます。セロトニンが十分に分泌されているときは幸せな気持ちになるだけでなく、イライラによる過食も抑えられるので、セロトニンを活性して“太りにくい脳”を作りましょう、というのがセロトニン活性ダイエット。セロトニンのもとになるトリプトファンを多く含む食材=肉、赤身の魚、乳製品、バナナ、大豆製品、ナッツ類をたくさん食べるのがよい、とされています。
 上記でいうダイエット(減量)でも、精神を癒すダイエット(食事療法)においても、「幸福のホルモン・セロトニン」に注目するのは間違っていません。しかし、そのために肉や乳製品を多食するのは本末転倒ではないでしょうか。
 ご存知ですか?脳に存在するセロトニンの90%以上が腸で作られることを。セロトニンを十分に作るには、腸を荒らすものを食べず、腸内環境を良くするものを、よく噛んで消化しやすいかたちで食べることが大切です。これも日本古来の伝統食に叶っていますね。精白しない穀物を主食とし、季節の野菜や海草や小さな魚介類を摂るのですから。
 玄米や野菜にたくさん含まれる食物繊維は腸内細菌のエサになり、いきいきと動く腸の中でセロトニンは活発に分泌されます。また、よく噛むことで頭脳が明晰になり、血流もよくなり、唾液の分泌が増えて事前消化を促進してくれます。肉やマグロや乳製品をとくにたくさん食べなくても、日本の伝統食を正しく食べ、朝きちんと起きて、外気に当たる普通の生活を守ることがセロトニン活性の鍵だといえそうです。
 近年アメリカで「腸は第二の脳である」という研究発表が注目を集めましたが、日本語でも「腹が据わる」「腹を決める」「腹をくくる」など、ここぞというときに「腹」が使われます。腸と精神活動に深い結びつきがあることを、私たちの先祖は遠い昔から知っていたのですね。
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穀物を食べるということ vol.15「食物アレルギー対応食、グルテンフリーダイエット、カゼインフリーダイエット」としての側面

 食物アレルギー対応食とは、小麦・卵・乳製品・抽出した油などの洋風食材を食べられない人のための除去食です。米や大豆に反応する人もいます。
 グルテンフリーダイエットを日本語に言い換えれば「グルテン除去食」となります。小麦に含まれるたんぱく質グルテンが腸内環境を悪化させ、疾病を引き起こすことから、小麦を食べない食事療法です。カゼインフリーダイエットは「カゼイン除去食」。ヒトの大人の腸内には本来、乳糖を消化する酵素はないと考え、かつ乳製品に含まれるたんぱく質カゼインにガン発症プロモーターの可能性があることから、乳製品を食べない食事療法です。この2つを総称した「GFCFダイエット」は最近、自閉症や精神疾患に対応する食事療法として注目されています。

 ここからは日本の伝統食を考えてみましょう。元禄時代以前の日本人は、そもそも小麦・卵・乳製品をめったに食べませんでした。
 麦についていえば、日本で日常的に食されてきた麦は粒で利用できる大麦(麦茶、麦飯)であり、製粉が必要な小麦はハレの日に楽しむものでした。稲の裏作として小麦栽培が全国に広まった17世紀(江戸時代)以降も、グルテン量の少ない国産小麦の中力粉をうどんやすいとんにして大切に食べたのです。しかし高度経済成長以降、日本人は、外国産小麦の強力粉で焼いた白いパンを常食するようになりました。外国産小麦はグルテン量が多く、そもそも日本人の体質に合わないのです。さらに輸入小麦はポストハーベスト農薬の残留があります。
 乳製品も庶民には無縁のぜいたく品でした。飛鳥・奈良時代の文献に牛乳を煮詰めて作る「酥(そ)」が登場し、平安時代に皇族から始まった牛乳飲用は貴族の間に広まりましたが、朝廷の勢力が弱まるとともに衰退。国民の間に牛乳飲用が広まるようになったのは「天皇が毎日牛乳を飲む」という記事が出た明治4年以降です。

 日本人の主食である米、味噌や醤油、納豆など伝統的な発酵食品として欠かせない大豆にもアレルギー反応を示す人が増えているのは悲しいことです。米アレルギー、大豆アレルギーはそれらに含まれるたんぱく質よりも、栽培時と輸入時に使われた農薬に反応することが多く、無農薬・有機栽培の天日干しの米や、ポストハーベスト農薬の残留がない国産無農薬大豆なら大丈夫、という人も多いです。
 日本で栽培される米の品種が、日本古来の原種であるウルチ系(ササニシキなど)から、甘くもちもちした食味のモチ系(コシヒカリ、あきたこまちなど)に移行したことも見逃せません。米アレルギーでも、低アミロペクチン・高アミロースのササニシキなら大丈夫、という人がほとんどです。
 大豆も間違った食べ方をしていませんか?最近は大豆を圧力鍋で炊く人が多く、途中で出るアク(サポニン)をすくわず一緒に食べてしまうことも、大豆アレルギーの一因と考えられます。昔のお母さんがしてきた通り、大豆は一晩水に浸け、土鍋でアクをすくいながら炊きましょう。未精白の穀物を12時間以上浸水して食べる…発芽モードは、伝統食の知恵なのです。


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2013年09月18日

穀物を食べるということ vol.14 「糖質(単一炭水化物)制限食、低GI値食で低インスリンダイエット」としての側面

 糖質制限食はもともと糖尿病患者のために考えられた、ごはんやパン、麺類など炭水化物(糖質)の多い食品を制限する食事療法です。穀物、芋類を含む根菜、砂糖を含む甘味料など炭水化物の多い食べものは(糖質の含有量の総計が1日17gを超えないよう)極端に制限すべき、という医者もいます。「糖質だけ控えれば肉や魚や卵は比較的制限なく食べてもよい」という手軽さから、糖尿病患者だけでなく、ダイエット(減量)したい人にも広がっています。
 
 GI値とは、その食品を食べたとき血液中にいかにブドウ糖が速やかに現れるかを計った値、つまり血糖値が上昇するスピードを比較するために役立つ値です。ブドウ糖そのものを摂取したときの血糖値上昇率を100として、相対的に表されます。

 ブドウ糖は体を動かすエネルギーになりますが、急激に増えると膵臓からインシュリンが分泌され、血糖値を下げようとします。これが頻繁に、あるいは一度に大量分泌が必要とされ続けると、膵臓事態に負担をかけますし、分泌されたインスリンが本来の役目を果たせないもの、効きづらく(インスリン抵抗性)成る事もあります。その一方、インシュリンが分泌されすぎるとエネルギー代謝に使われなかった余分な糖は脂肪細胞に運ばれ、「飢餓」に備えて貯蔵されるので、現代では肥満の原因になります。

 そこで「低GI値の食品を食べて血糖値の上昇を緩やかにし、太りにくい体にする」のが低インスリンダイエットです。
 
低インスリンダイエットを日本語に言い換えれば「血糖値を急に上げない食事法」となります。英語のdietは本来、代謝異常や消化器系内臓疾患、肥満などに対する食事療法や治療法という意味ですが、日本では減量や痩身の意味で使われることが多くなった言葉です。
 
 さて、ここからは日本古来の伝統食を考えてみましょう。

 日本古来の伝統食で主食とされてきた未精白の穀物のGI値は際立って低く、GI値50です。玄米がゆ(グレインミルク)に至ってはGI値42です。昔から日本人は「(玄米)餅は腹持ちがいい」「飯をしっかり食べないと腹に力が入らない」と言い習わしてきました。GI値が低い食べものほどゆっくりと吸収され、いわゆる、「腹もちがよくなる」のです。昔の人は経験的にそのことを知り、伝統食というかたちで低GI値食、低インスリン食を守ってきたのではないでしょうか。
 
 ちなみに玄米を精白すると、食物繊維やミネラルが減るだけではなく、GI値は100近くまで上がります。しかし、白米を食べる場合は、酢や発酵食品を合わせて食べるとGI値は70に下がり、野菜など食物繊維を一緒に食べるとさらに10〜20下がることがわかっています。白米と味噌汁にぬか漬けや酢の物を添えた献立、具だくさんの混ぜごはんやちらし寿司は、伝統的な食べ合わせによる低GI値食です。

 海外に目を向けると、イタリアの伝統食であるパスタもGI値50台、ヨーロッパで伝統的に食べられてきた未精白の黒パンやオートミールも低GI値です。世界各地の民族の命をつないできた伝統食は、ゆっくり血糖値を上げ、エネルギーを一定に保つものだったのでしょう。
 
 安定的なエネルギー供給は、穏やかな心、集中力、忍耐力、つまり学習能力を与えてくれます。チンパンジーには無理だけれど、エネルギーが脳に持続して供給された人間の子どもは、2時間以上集中してひとつの難しい問題を解き、その達成感に幸せを感じたり、やりがいを見つけたりできるのです。玄米おむすびは偉い!


posted by グレイニスト at 22:04| COLUMN Grainism 穀物を食べるということ