2013年09月25日

穀物を食べるということ vol.19「健脳食、健腸食、免疫力アップ食」としての側面

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 健脳食(ブレインフード)とは頭をよくする食事法のこと。脳を活性化させて受験生の学習能力を高め、高齢者の認知症を防ぐ、と注目を集めています。健脳食として勧められるのは「脳はブドウ糖のみをエネルギーにするので、糖=炭水化物であるごはんをしっかり食べる」「心穏やかでないと勉強できないので、幸せのホルモン=セロトニンを活性させる食材を食べる」「脳を活性化するギャバを摂る」「アドレナリンが切れないよう、すぐに血糖値を上げてしまう甘いお菓子やジュースは避ける」「第二の脳といわれる腸を健康にする」などの食事です。
 このコラムをずっと読んでくださった方にはすぐ解る通り、これらの5つはすべて、日本の伝統食を正しく食べればクリアできます。ただし、最初に出てくるごはんについては、精白した炭水化物(白米、白いパンなど)にはそれを燃やす補酵素がないので、できるだけ全粒食を取り入れるべきです。玄米や雑穀をしっかり発芽モードにして食べる、これが健脳食の要です。セロトニンについてはvol.16「精神を癒すセロトニン活性ダイエット」としての側面で述べた通り。ギャバは玄米を発芽モードにすることで得られます。知識さえあれば、高価な発芽玄米や発芽長利用の器具を買う必要はありません。参考: vol.11ギャバがキャパを上げる、頭を良くするご飯の食べ方
 腸の健康といえば、味噌・醤油・酢など日本の伝統的な調味料はすべて発酵食品です。油っぽいもの、動物性たんぱく質を多食しないことも腸の健康に役立ちます。そして何といっても、腸の健康に不可欠なのが食物繊維。穀物と野菜と海藻をしっかり食べ、不足するたんぱく質を豆や小魚で補う日本の伝統食は食物繊維たっぷりです。腸内細菌が喜び、腸内環境がよくなるので、腸が健康になり、免疫力も上がるのです。
posted by グレイニスト at 10:50| COLUMN Grainism 穀物を食べるということ

穀物を食べるということ vol.18「フィトケミカルに着目するアンチエイジングダイエット」としての側面

 「phytochemical/フィトケミカル」は植物が持っている機能成分のこと。植物自身が紫外線や害虫から自分を守るために作り出すフィトケミカルが、人間の体内でも抗酸化作用を発揮して活性酸素を取り除き、アンチエイジングに役立つと期待されています。植物はその色に対応した機能成分を持っていることが多く、トマトのリコピン(赤)、ブルーベリーのアントシアニン(紫)などが有名です。
 フィトケミカルをバランスよく摂るために、七色の野菜や果物(赤・橙・黄・緑・紫・黒・白)を意識的に摂る食事法が提唱されています。フィトケミカルの中には熱によって失活するものもあるので、前回触れたロー・フードは酵素とともにフィトケミカルを重視する食事法ともいえます。

 ここで「食べられてしまう植物の立場」からフィトケミカルを考えてみましょう。前述の通り植物にとってフィトケミカルは、自分の命を守るためのものですから、鮮やかな色の中には虫や獣(捕食者)に対する阻害要因を含む、つまり食べると毒になるものもあります。“食べるな危険!”というわけです。人類は長い歴史の中で、ある植物を食べて元気になったり、またある植物を食べておなかをこわしたり、ある時は命を失ったりしながら、適切な食べ方を工夫して子孫に伝えてきたに違いありません。
 和食には「できるだけ色鮮やかに仕上げる」という美学があります。青菜をさっと茹でて冷水にとる、ざるにのせて湯をかけ回す、あつあつの料理を器に盛ってから薬味を天盛りする、温度や時間を細やかに気遣いつつ蒸す・焼く・揚げる、塩や酒や酢を加えて食材の成分を守りながら煮炊きするなど、その知恵は枚挙に暇がありません。「きれいに設える」ためのこうした繊細な工夫が、結果としてフィトケミカルの長所も最大限に残してくれます。
 一方で日本の伝統食には、加熱によってフィトケミカルを解毒する教え=灰汁(あく)取りがあります。ワラビの灰汁を木灰と熱湯で中和する灰汁抜き、大豆を茹でるとき大量に浮いてくる灰汁(水溶性のサポニン)をすくって捨てる、などがそうです。
 加熱ではありませんが、未精白の穀物を12時間以上浸水して食べる発芽モードも、伝統食の知恵です。発芽モードの穀物の中で活性された酵素が、種子が自己防衛のためにもっている毒(植物ホルモンのアブシジン酸・発芽抑制作用)を消してくれるのです。参考:Vol.5 じっくり吸水させた粒を、やわらかに炊く

 間違えてはいけないのは「もともとヒトは動物だったのだから…」という理屈で、現代人の食を考えてしまうことです。「加熱食なのは人間だけ、だから病気をする…野生動物を見てごらん、生食だから病気はないでしょ?栄養価の高いままのロー・フードで病気知らず!」最近良く聞く論法です。しかし、この理屈、本当に正しいのでしょうか?
 「野生のコアラはユーカリ、リスは木の実、アイアイはラミーの実、アリクイはアリ、牛は本来なら草…」このように野生動物の餌は非常に限定的です。彼らは、毒にやられない生理機能が自分の身体に備わっているものだけを食べているのではないでしょうか?つまり、積年の自然淘汰で解毒酵素や消化酵素を身につけたものだけを食べているのです。
 コアラやリスと違って、餌(食べもの)を限定しない超雑食性の人間にとって、あれもこれも生食では危険です。人間が超雑食性でいられるのは、火を使って加熱調理をするようになり、野生の植物を食べやすく改良する作物化(動物も飼い慣らして家畜化)といった、「毒を軽減する方法」を手に入れたからともいえます。  
 フィトケミカルの究極の利用の形は「漢方薬」です。草木類を乾かしてすりつぶし、煎じて利用する…。濃縮されたフィトケミカルを私たちは薬として使ってきました。でも、一歩間違えて量が過ぎると毒になるから大変でした。私たちは、その扱いに長けた人を「医者(漢方医)」と呼んで尊敬し、その知恵を大切に守り受け継いできたのです。
 先人に習い、たくさんの食べものを楽しみながら、その命の恩恵にあずかって食したいものです。
posted by グレイニスト at 10:50| COLUMN Grainism 穀物を食べるということ

穀物を食べるということ vol.17「日本流ロー・フード、酵素食」としての側面

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 いつ頃からか、健康の秘訣は生食であると言われ始め、それは舶来のおしゃれな名前「Raw food/ロー・フード」と称されて、大人気です。ロー・フーディズムの主要な根拠が酵素栄養学。酵素を生命維持に不可欠な栄養素のひとつとして考え、生野菜や果物のすりおろし食、野菜サラダなどの多食が勧められています。さらに、現代の食べものは加工や調理によって酵素を失活したものも多いので、酵素剤や抗酸化物のサプリメントを摂取するよう推奨する医師もいます。

 ここからは日本の伝統食を考えてみましょう。例えば江戸時代、野菜はどのように食べられていたでしょうか?肥料に人糞を使っていた時代、衛生面から野菜の生食は避けたはずです。生野菜や果物のすりおろし食、野菜サラダがなかった時代、日本人はどうやって酵素を摂ったのでしょうか?
 日本の伝統食には、野菜を加熱しつつ生の部分を少しでも多く残す工夫がありました。例えば、食べる直前に大根おろしをたっぷり加える「雪見鍋」、味噌汁の火を止めてから入れて青みを残す「青菜や刻みネギ」、ざるに青菜をのせて湯をかけ回すだけの「湯通し」、ごぼうを半生に茹でる「たたきごぼう」などです。おひたしの青菜をさっと茹でて冷水にさらして色鮮やかに仕上げるのも、熱に弱いビタミンを少しでも多く残す技ですね。そして、なんといっても伝統的な野菜の食べ方の究極はぬか漬けです。
 さらに日本は気温・湿度など発酵に適した気候に恵まれ、世界有数の発酵大国でした。麹を用いた味噌・醤油・酒・みりん・酢などの発酵調味料のほか、納豆や漬物、鰹節などの発酵食品も食卓に欠かせないものでした。味噌汁を作るとき、味噌を入れたら沸騰させないというルールは、酵母菌が作る酵素を失活させないための工夫です。
 このように、今流行りのロー・フードの健康効果、酵素を適切に摂る手法は、日本の伝統食の中にも存在していたのです。伝統食はその土地に住む人々にとって適切な食べものだったからこそ、世代を超えて受け継がれたのですから。
 納豆や漬物にお醤油、味噌をつけて食べる握り飯…日本の庶民の食の最高峰です。こうした食を忘れてはいけません。ただし、スーパーで安く売っている味噌(防湧剤や加熱処理によって発酵を止めてある味噌)や漬物(野菜を調味液に漬けただけで発酵を伴わない浅漬け)は酵素活性中ではなく、酵素の摂取源として期待できません。伝統製法を守り続ける醸造家や無添加の農産加工品の生産者を、私たちはしっかり食べ支え、応援していきましょう。


posted by グレイニスト at 10:49| COLUMN Grainism 穀物を食べるということ