2013年09月25日

穀物を食べるということ vol.17「日本流ロー・フード、酵素食」としての側面

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 いつ頃からか、健康の秘訣は生食であると言われ始め、それは舶来のおしゃれな名前「Raw food/ロー・フード」と称されて、大人気です。ロー・フーディズムの主要な根拠が酵素栄養学。酵素を生命維持に不可欠な栄養素のひとつとして考え、生野菜や果物のすりおろし食、野菜サラダなどの多食が勧められています。さらに、現代の食べものは加工や調理によって酵素を失活したものも多いので、酵素剤や抗酸化物のサプリメントを摂取するよう推奨する医師もいます。

 ここからは日本の伝統食を考えてみましょう。例えば江戸時代、野菜はどのように食べられていたでしょうか?肥料に人糞を使っていた時代、衛生面から野菜の生食は避けたはずです。生野菜や果物のすりおろし食、野菜サラダがなかった時代、日本人はどうやって酵素を摂ったのでしょうか?
 日本の伝統食には、野菜を加熱しつつ生の部分を少しでも多く残す工夫がありました。例えば、食べる直前に大根おろしをたっぷり加える「雪見鍋」、味噌汁の火を止めてから入れて青みを残す「青菜や刻みネギ」、ざるに青菜をのせて湯をかけ回すだけの「湯通し」、ごぼうを半生に茹でる「たたきごぼう」などです。おひたしの青菜をさっと茹でて冷水にさらして色鮮やかに仕上げるのも、熱に弱いビタミンを少しでも多く残す技ですね。そして、なんといっても伝統的な野菜の食べ方の究極はぬか漬けです。
 さらに日本は気温・湿度など発酵に適した気候に恵まれ、世界有数の発酵大国でした。麹を用いた味噌・醤油・酒・みりん・酢などの発酵調味料のほか、納豆や漬物、鰹節などの発酵食品も食卓に欠かせないものでした。味噌汁を作るとき、味噌を入れたら沸騰させないというルールは、酵母菌が作る酵素を失活させないための工夫です。
 このように、今流行りのロー・フードの健康効果、酵素を適切に摂る手法は、日本の伝統食の中にも存在していたのです。伝統食はその土地に住む人々にとって適切な食べものだったからこそ、世代を超えて受け継がれたのですから。
 納豆や漬物にお醤油、味噌をつけて食べる握り飯…日本の庶民の食の最高峰です。こうした食を忘れてはいけません。ただし、スーパーで安く売っている味噌(防湧剤や加熱処理によって発酵を止めてある味噌)や漬物(野菜を調味液に漬けただけで発酵を伴わない浅漬け)は酵素活性中ではなく、酵素の摂取源として期待できません。伝統製法を守り続ける醸造家や無添加の農産加工品の生産者を、私たちはしっかり食べ支え、応援していきましょう。


posted by グレイニスト at 10:49| COLUMN Grainism 穀物を食べるということ